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グヴェル・テラー
称号 クマノ縫イ狂ミ
所属 不明
異界 魔界
発言 -
――――――オルハレポート Orlha Report――――――

先日、ボロボロになったウサギのぬいぐるみを境界騎士団が保護しました。
一見するとただのぬいぐるみですが、それは自らの意思で動き、身振り手振りで必死に何かを伝えようとしている様子でした。
そのぬいぐるみを調べてみましたところ……信じがたい事ではありますが、中に人間の魂が宿っていたのです。
そこで、その分野に長けた魔道士の方にお願いし、ぬいぐるみに宿る魂の記憶を読み取っていただきました。
そして、私たちは知ったのです。
この世界に迫りつつある脅威――「グヴェル・テラー」の存在を。

事の発端は、「エル・メルフェゴール」という少女でした。
彼女は魔界に存在する国々の一つ、「メルフェゴール王国」を治める魔王の令嬢で、不思議な力を持ち合わせています。その力とは、人間の魂を抜き取り、人形に閉じ込めるというものです。その後、魂を人形に閉じ込められた人間は筆舌に尽くしがたい凄惨な仕打ちを受けます。そして壊れてしまった人形は、無惨にも捨てられますが、人形という器をなくした魂だけは、次なる器を求めて彷徨い続けるそうです。その迷える魂が行き着いた先が、巨大なクマのぬいぐるみ――グヴェル・テラーだったのです。

捨てられた人形の魂は、次々とグヴェルに宿り、多くの魂がその中で混ざり合いました。
それもただの魂ではありません。
苦痛、憎悪、怨嗟、憤怒……闇よりも深く暗い感情に染まった“黒い魂”です。
そうして数多の黒い魂は、やがて一つの「魂の融合体」となり、グヴェルを器として支配しました。
新たな器を得た魂の融合体は、衝動の赴くままに破壊の限りを尽くし、打ち捨てられた人形たちを従えて異界の歪みへと消えていきました。
以上が、ウサギのぬいぐるみに宿る魂に記憶された、グヴェル・テラーの情報になります。

さて、そのグヴェルが、なぜこの世界へと手を伸ばしたのか……。
これは、わたくしの推測になりますが、彼は自らの中身である黒い魂を集めているのではないでしょうか。
ウサギのぬいぐるみよりもたらされた情報によると、器となっているクマのぬいぐるみは、すでにボロボロでつぎはぎだらけになっているようです。そのような不完全な器では、力を使えば使うほどツギハギ部分から魂が漏れ出てしまい、やがて中身は消滅してしまうのではないでしょうか。ですから彼は暴虐の限りを尽くし、人間たちに恐怖と絶望を植え付け、そうして黒い感情を抱いて死んでいった人間の魂を集め、己が糧としているのだと思われます。

黒猫の魔法使い殿。
どうかグヴェルの終わりなき凶行を止めて頂けないでしょうか。

一刻も早いご到着を、心よりお待ちしております。