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テツ・カジウラ
称号 包丁一本漢道
所属 不明
異界 不明
発言 「勝利を握らせていただくぜ!!」
寿司職人テツ・カジウラにはある秘密があった。
(こいつは誰にも知られちゃいけねえ……まだだ、勝負が始まるまで、まだバレちゃいけねぇんだ……!)
肘の内側にあるメンテナンスホールに機械用のグリスを流し込みながら、彼は指先の動きを確かめた。
そう、彼こそは寿司を握るためだけにその身を機械に変えた、プロトタイプのオスシサイボーグ『テツ・カジウラ』。
一見して人間に見える彼だが、その体内には最先端の技術が詰まっている。

彼は3年前、暗黒寿司街で敗北し、その暗部へと囚えられた父親クロガネ・カジウラを救うために、メカニカルスシセンター「スシ・ライトニング」にて自らの身体を必勝の手段そのものと化したのである。
そして彼は今、暗黒寿司街最大手チェーン「ドギモズシ」の調理人控室でそのボディのメンテナンスを行っていた。
(ドギモ……絶対許さねぇ……!)
ドギモズシは「度肝を抜かれるほどの美味しさ」という触れ込みではあるが、その実態は兵器転用を目的とした自動スシニギリマシン「グレートイタマエMk3」の実験場であり、その対戦相手として数多の職人を寿司の暗黒面へと叩き込んできた諸悪の根源であった。
さらにドギモズシはマネーパワーによって魚市場を支配している。作られる寿司は材料については絶品の極みに至っていた。
何よりも、人の手に触れた寿司はそれだけぬるくなる。グレートイタマエMk3は一秒間に15貫のにぎり寿司、6個のお稲荷さん、そして8個の軍艦巻きを同時に製造することができ、冷たく素早く握る事が至上とされている寿司に於いて、グレートイタマエMk3の作る寿司は間違いなく最高の寿司であった。

(こいつが大々的に売り出されちまったら、俺達寿司職人の未来が潰されちまう……! そして兵器転用でもされちまったら……くっ!!)
寿司業界において、流れていいのは醤油の黒と決まっている。グレートイタマエMk3が世に出てしまい、寿司業界に血の赤が流れてしまうことだけは阻止しなければならなかった。
「テツ・カジウラ!! 貴様の番だ、調理台につけぃ!」
その声とともにドォン、ドォン、と太鼓の音が鳴り響き、ついにテツはグレートイタマエMk3の前へと連れ出された。
テツの前に鎮座する機械の塊を見て、彼は自分とその機械を重ねあわせる。
「お前も……悲しい機械なんだな……俺が止めてやるぜ、グレートイタマエ……!」
「始めぇい!!」
ドギモズシ社長の号令とともに、テツとグレートイタマエがすさまじい速度で握りを作り始める。その速度は互角――否、テツが一枚上手だ!
「どうだ!!」
寿司職人としての知識、そしてぬくもりを持たぬ神速のボディを得た彼の寿司は、味、速度ともにグレートイタマエMk3のはるか上を行っていた。この敗北はドギモズシの評判を大きく落とし、テツは彼らのさらなるチェーン展開を未然に防ぐことができたのだった。

だが、彼の戦いは終わらない。
美味フェスというイベントに、ドギモズシが秘密裏に開発されていた新しい自動スシニギリマシン「グレートイタマエMk4」を投入するという噂を聞きつけたのだ。

テツは握る。父親を助け出し、ドギモズシを倒すその日まで。

「さあ、今回も勝利を握らせていただくぜ!!」