蒼穹のストライカー 異空間サッカー

序章
魔力が満ち、普遍的に魔法が存在する、とある異界。
あらゆるものに魔力が用いられているその世界では、生活の一部から娯楽に至るまで、余すところなく魔法が応用されていた。

特に「野球」というスポーツでは、選手が魔力を用いることで、試合がより盛り上がると評判だった。
そして――魔力の使用が解禁されたスポーツは、野球だけではなかった!


晴天に輝ける太陽が、緑の芝生で覆われたフィールドをきらめかせている。
フィールドをぐるりと囲む形で設置された観客席では、多くのサポーターが歓声を上げていた。
彼らの歓声を受けながら、青いユニフォームの少年――エイジは走る。
サッカーボールを巧みに操りながら、敵チームのコートへ攻め入っていく。

だが、立ちふさがる影が4つ。
敵チームのディフェンダー陣が、ぞろりとエイジを取り囲んでいた。
普通なら、味方フォワードと連携して突破するところだ。しかし、それは無理な話だった。
エイジたち『ブルーフェザーズ』のチーム人数は3人――フォワードはエイジだけなのだ。

勝利を確信した動きで、ディフェンダーたちが迫ってくる。
だが、エイジはあきらめていなかった。
こちらを追うディフェンダーたちの間に、一瞬だけ、隙間を見出したのだ。
その隙間へと、エイジは全力でシュートを撃ちこんだ!

「行けェッ! クリアブルー・ライザーっ!!」

魔力によって極限まで研ぎ澄まされた集中力が、正確無比なシュートを実現する。
蒼い魔力をまとった一閃が、ディフェンダーの間をすり抜け――キーパーの股下をくぐり、ゴールに届く!

『ゴォォォォォ――――ルッ!!』

アナウンスが流れ、観客席から爆発的な歓声が弾ける。
しかし、エイジは苦い顔をしたままだった。

現在の得点差は、2対1。こちらはようやく1点をもぎ取ったにすぎない。
敵選手の実力は、エイジに比べればはるかに劣る。だが、3対11という人数差が、彼を追い詰めていた――

たった3人で試合に臨む、崖っぷちのチーム『ブルーフェザーズ』。
待ち受けるのは、魔力を駆使した独自のサッカー技を操る強豪選手たち!
エイジたちは、圧倒的劣勢を覆し、大会優勝を狙えるのか!?

魂と絆のサッカーバトルが、今、フィールドに花開く!

第一章 エイジ・ミソラ
生まれて初めてもらったプレゼントは、サッカーボールだった。
小さい頃の話ではない。赤ん坊の頃の話だ。
熱心なサッカーファンの両親を持ったエイジは、生まれた時から常にボールと一緒だった。

やがて、エイジは、名門サッカースクールへの試験に合格した。
両親は大喜びで、エイジを送り出してくれた。
エイジも自分を誇らしく思っていたし、いずれプロのサッカー選手になれると思うと、うれしくて仕方なかった。

――その時期から、サッカーにおいて魔力操作法の使用が解禁された。

魔力の操作法は、個人の適性によって、その効果が大きく異なる。
各選手は、自分の得意な操作法から試合を有利に運ぶ技を開発するのに必死になった。

そんななか、エイジの持つ適性は、言ってしまえばきわめて地味なものだった。
内面干渉系――つまり、自分の精神にしか魔力を作用させられなかったのだ。
集中力を研ぎ澄ませ、精密にボールをコントロールする……そのくらいが限度だった。

サッカースクールを卒業し、ジュニアユースのチームに入ることはできた。
エイジにはそれだけのサッカーのテクニックがあったが、それだけだった。
エイジは、強力な技を使いこなす他の選手たちを見て、自信と誇りを失いかけていた。

「馬鹿なことを言ってる暇があったら、練習あるのみだろ」
「そーそ! あたしたちなら、いくらでも付き合うからさ!」
励ましてくれたのは、同じチームに選ばれた、ふたりの幼なじみだった。
タクミとミチル――共にゴールキーパーであるふたりは、エイジの適性に可能性を見出していた。

「精密なボールコントロールができるってことは、どんな姿勢からでもシュートできるってことだろ」
「キーパー的には、それ、すんごい脅威だよ、エイジ! その方向で磨いてみようよ!」
ふたりは、エイジの特訓に付き合ってくれた。彼らも自分の技の特訓で疲れているのに、そうすることが当たり前だと言わんばかりに、エイジに協力してくれた。
そのおかげで、エイジのシュート――『クリアブルー・ライザー』は完成を見たのだ。

なのに。

タクミは消えた。何も言わずに、いなくなったのだ。他のチームに移籍したと、後で知った。
風の噂に、タクミがどんな方向からのシュートも防ぐ技を編み出したらしいと聞いた。
タクミは、その技を編み出すために、自分の特訓に付き合っていたのだろうか。
それ自体は別によかった。そう言ってくれさえしたのなら。
ただ、何も言わずに利用して、何も言わずにいなくなったことが、許せなかった。
親友だと思っていたのは自分だけなのかと思うと、無性にやるせなく、無性に腹立たしく……
そして、無性に悲しかった。

第二章 ミチル・トオノ
今のサッカーにおいて、男女の区別はない。
己の魔力を駆使して、どんな技を使えるか……それこそが問われるからだ。

ミチルの魔力操作適性は、驚くべきことに因果律干渉系と呼ばれるものだった。
一言で言えば、運命をねじ曲げる力があるのだ。

ただ、生来の大雑把な性格ゆえか、「ねじ曲げ方」がひどく偏っていた。
『近くの人や物への攻撃を、自分が代わりに喰らったことにする』。
それが、ミチルの持つ唯一の適性だった。

監督は、ミチルをゴールキーパーに任命した。彼女の適性を最も活かすための采配だった。
「おまえが最後の壁となる。おまえのガッツでチームを守れ」
監督の言葉に、ミチルは燃えた。

やがて、チームを多くの不幸が襲った。

まずは、選手の引き抜きだ。今や、強い技を使える選手こそが戦術の要となる。どのチームも、優秀な技を持つ選手をこぞって引き抜きにかかった。ミチルのチームからも、優秀な選手がどんどん消えていった。そのなかには、ミチルの幼なじみの姿もあった。

続いて、監督が倒れた。心労だった。スポンサーが資金援助を削減し始め、チームの存続すらも怪しくなっていた。その状況で、監督は、資金を工面するのに走り回っていた。どこからも引き抜かれなかった、地味な技しか持たない若い選手たちの、その未来を閉ざさぬために。

身体を壊し、入院を余儀なくされた監督は、残された選手たちに告げた。
「おまえたちの技は地味だ。だが、地味だからってなんだ? 磨け。あがけ。地味でもなんでも、磨き抜け。自分で自分を輝かせ、自分の未来を照らし出せ!」
はい、とミチルはうなずいた。やるしかないのだ。自分の未来を閉ざさぬためには。磨くしかない。

残ったメンバーは3人。
監督の言葉に報いるすべは、ただひとつ。自分たちの技と力で、優勝してみせることだ。
きっと誰もが笑うだろう。たった3人で優勝? そんな地味な技で? できるわけないじゃん。バカじゃない?
ミチルはそうは思わない。足りない分は磨けばいい。技も心も。どこまでも。
磨いて磨いて磨き抜いたら――どんな原石だって、いつかダイヤモンドのごとく輝くだろう。
だから、ミチルはいつも、こう答えるのだ。

「なせばなるなる!ならいでかー!」

第三章 アユム・カガ
正直、潮時かな、と、アユムは思っていた。

なんとなく始めてみたサッカー。
どうやら素質があったらしく、ジュニアユースのチームに選ばれることができた。

だが、そこまでだった。
時はサッカー全盛期――強力な技の使い手こそが求められる時代。
魔力を操り「飛翔」の力を得るというアユムの特性は、いかにも、なんとも、地味だった。
チームから続々とメンバーが引き抜かれていったが、アユムにはまったく声がかからなかった。

まあ、それは別にどうでもいい。
アユムにとって、重要なのは『楽しめるかどうか』だ。
誰に認められようが、認められまいが、自分が楽しめさえすればいい。
その意味では、サッカーという競技は、やっていてまあまあ楽しめるものだった。

しかし、今のチームが潰れれば、アユムがサッカーで活躍できる場も消滅することになる。
残念ではあったが、ま、正直、潮時かな、という思いもあった。
そろそろ、別の『楽しめること』を見つけなくてはならないかもしれない、と。

この大会がチームの、そしてアユムの最後のサッカーになるだろうと思っていた。
だから、軽く流して最後にまあまあ楽しんでおこう、というくらいの気持ちでいた。

ところが。

大会初戦、突如としてフィールドに謎の光が満ちあふれ、そこから誰かが現れた。
澄まし顔の黒猫を連れた、謎めいた魔法使い。
しかも、ミチルに強引に助っ人扱いされ、なんだかんだでチームに協力してくれるという。

唖然となりながら――同時に、アユムのなかには、むくむくと期待感が芽生えていた。
この突拍子もない登場をした魔法使いの存在が、何かを変えてくれるかもしれない。
いや……『面白くしてくれる』かもしれない。

「勝とうと負けようと、ま、どっちでもいいけど……
 キミには、ちょぉーっと、期待させてもらおうかな。魔法使いくん――」

第四章 レーヴ・ピュール
余はレーヴ。サッカー帝国サッカリアの皇太子である。

え? サッカー帝国ってなんだよって? そんなの知らないって?
はっはっは。面白いことを言うねキミ。——後で、気持ち獄門の刑な。

知っての通り、サッカー帝国サッカリアはサッカーを重要視する帝国だ。
騎士は馬上槍試合ではなくサッカーで腕を競うし、貴族議会は議論が紛糾したらサッカーでケリをつける。
皇帝の選出に至っては、代々、皇位継承者のなかから、PKで選んでいるぞ。

皇太子である余も、当然、サッカー漬けの暮らしを送ってきた。
今大会に出場するのは、その腕試しであり、また帝国の異名をサッカー界に轟かせるためでもある。

それに、余はサッカー漫画が大好きでな! あの熱いノリがたまらんのだ!
サッカー漫画の最大の盛り上がりと言えば、やはり大会!
余は、サッカー漫画の主人公たちのように、辛く厳しい戦いを乗り越え、仲間との絆が深まっていく感を味わいたくて、この大会の出場したと言ってもいい!

そのために、パパに頼んでチームメイトは帝国の優秀なサッカー選手で固めてもらった!
余のために働き、余のために尽くし、喉が乾いたらジュースとか買ってきてくれる、気のいい仲間たちだ!

……え? それ、仲間じゃなくて配下だから、ちょっとノリが違うんじゃないかって?
確かにそうだな……サッカー漫画の主人公に、配下とか下僕とかいないもんな。だいたい友達だもんな。

あれ。ちょっと待って。そもそも余って、友達いなくね?
これじゃサッカー漫画的なノリが味わえなくね?

な、なんてことだゲブハァッ! くっ、動揺しすぎて吐血してしまった! かわいそうな余!
おい、友達はどこで売ってるのだ!? 金ならいくらでも出すぞ! え? プライスレス? マジで?

くっ……! 余は、余はどうすればいいのだー!!

第五章 ルー&クー
ぼくらは、みなしごだった。
親に捨てられて、スラムでネズミみたいな暮らしを送ってた。

誰も信用なんてできなかった。
隙を見せれば、罠にかけようとする連中ばかりだった。
信じられるのは、ずっと一緒にいる、双子のきょうだいだけだった。

ぼくら双子は、生まれつき、互いの魔力を同調させる力があった。
テレパシーみたいに意志疎通できたし、2人の魔力を合わせて能力を「2人分」にすることもできた。
ただ、やりすぎると、どっちがルーでどっちがクーだか、わかんなくなっちゃう。
だから、元気なルーと引っ込み思案のクーっていう風に、お互い個性を逆にした。

そんなぼくらを、両親は気味悪がって捨てたんだ。
離れていても、お互いの見たもの聞いたもののことがわかるっていうのが、特にだめだったみたい。
厳格で支配的な両親だったから、自分たちの制御できなさそうな個性を持つ子供はいらなかったんだ。

そうして、ぼくらは2人きりになった。
なめられないためには、2人の力を見せつけなきゃいけなかった。
ぼくらだけで完結してる、ぼくらだけでなんでもできる……そう証明しなきゃいけなかった。悪い大人に利用されないためには。

ぼくらの力はサッカーに向いてるらしくて、チームの人にスカウトされた。
やってみると、実際そうだった。完璧な連携。2人分の力。ぼくらの力はサッカーに適していた。
何よりもありがたいのは——ぼくらだけでも勝てるってことだった。
チームメイトがいようといまいと、ぼくらが本気になったら、どんな試合にだって勝てるんだ。
これなら、ぼくらだけでなんでもできるってことを、証明し続けることができる。

ぼくらがどんなに勝手なことをしても、チームメイトは何も言わない。上から命令されてるんだ。ぼくらがいちばん強いんだから、ぼくらを活躍させるために働け、って。

だから、今日も、ぼくらはぼくらだけで戦っている。
ぼくらだけでいい。ぼくらだけで勝てる。それがぼくらの価値で、ぼくらの力だ。
ただそれだけを、証明し続けるために。

第六章 イッグ・ハール
〝恐ろしき者〟と呼ばれてきた。

予知の妖眼などというものを持っていれば、そうも呼ばれる。
どんな未来も見通せるほど便利な能力ではないが、それでも、人々は畏怖と警戒の視線を向けてきた。

国の上層部は、イッグを始末した方がいいと考えていたようだ。
あの妖眼は、国にどんな災いをもたらすかもわからない。
早々に消してしまった方が、憂いがないのではないかと。

一方で、うまいこと利用すれば莫大な利益を得られるはずだ、という意見もあった。
ある程度でも未来を予知できるというのなら、使いようはいくらでもある。
始末してしまうより、子飼いにした方がいいのではないか、と。

結局、イッグはジュニアユースに参加するよう国から要請を受けることになった。
国の出資しているチームが大会で優勝すれば、国は各所から利益を得られるのだ。
『要請』とは言いつつも、断れば何をされるかわからない。
特に断る理由もなかったので、イッグは、やれやれと思いつつ要請を受けた。

予知の妖眼を使えば、どんなシュートも見切ることができた。
また、イッグは己の魔力を他者に宿し、『使い魔』に仕立て上げて、その能力を底上げすることもできた。
これは対象の肉体に激しい負荷をもたらすが、国はチームメイトにそれを受諾させた。
いい気分はしなかったが、イッグは狼の姿をかたどった魔力をチームメイトに送り込み、使い魔に仕立てた。

イッグが予知の妖眼でゴールを守り、チームメイトが身体の負担もいとわず決死の攻撃を見せる。
この采配に勝てるチームはなかった。つまらないほどあっけなく、どんなチームも敗れていった。

なんの意味があるだろう――ゴールを守りながら、イッグはいつも考えている。
これは作業だ。試合ですらない。効率的に勝利できる手法を確立し、実行するだけの作業だ。
そもそも自分は何をしているのだろう。
とりあえず殺されないよう、国の要請を受けてサッカーをしている。そこに自分の意志は介在していない。何も面白いことはない。
そんな自分の生き方に、いったいなんの意味があるのだろう――

準決勝――フィールドへの道を進みながら、イッグは苦々しく嘆息する。
予知するまでもない。
また、つまらない勝利の時間が始まろうとしている……

第七章 タクミ・シンカイ
強くなろうとすることに、特に理由があったわけではない。

自分にはサッカーの素質があり、鍛えれば鍛えるほど強くなることができた。
だから、どこまで強くなれるのか試したくなり、自分を鍛え続けた。それだけのことだ。

〝ストイック〟と言えば、聞こえはいい。
だが、今にして思えば視野が狭かったのだろう……というのが、タクミ自身の分析だ。

「強くなること」に固執するあまり、それを常に最上位の行動原理としてしまった。

他のチームから引き抜きの話を受けたタクミは、これに応じた。
より強いチームで戦えば、自分はもっと強くなれると思ったからだ。

自分が引き抜かれれば、今のチームは目に見えて弱体化する。最悪、解散もありえるだろう。
それに、ずっと一緒にサッカーをやってきた幼なじみたちと離れることになる。
そう考えると、タクミの胸には迷いとためらいが生じたが――
「強くなるためなら仕方がない」と自分に言い聞かせ、引き抜きの話を受けたのだった。

だが、やがてタクミは違和感を覚え始めることになる。
移籍後のチームでは、みながみな、己の魔力を駆使した技を駆使する個人プレーを見せていた。
確かに強い。強力な技の持ち主を集めたのだから、強くないわけがない。

しかし……サッカーにおける「強さ」とは、そういうものだっただろうか?

タクミの脳裏に、幼なじみたちと遊んでいた、小さなころのサッカーの記憶がよみがえった。
あるいは……それこそが、タクミが本当に「楽しい」と感じていたサッカーだったのかもしれない。

迷いながらも、修練の末に、タクミは最強の技を会得した。誰も打ち破ることのできないサッカーを。
タクミ1人いれば、どんな試合にだって負けることはない。
そこに至って、タクミは悟った。
これが、今のサッカーの限界なのだと。
この先には、もう、進化も発展も、ありはしないのだと……

「俺がやりたかったのは……こんなサッカーだっただろうか?」

答えてくれる友はいない。
彼自身が――強さのために切り捨ててきたのだから。

終章
「いいか? 重要なのは、個人個人の編み出した技を、いかに組み合わせて戦うか、だ」
フィールドに向かいながら、エイジは背後のチームメイトたちに告げた。
「練習してきた合体技だけじゃない。相手の技を破るために、突発的な連携も必要になってくる」
チームメイトたちは、緊張の面持ちでうなずいてくる。

優勝以来、『ブルーフェザーズ』は注目の的となっていた。スポンサーの資金援助も増額され、選手数も11人以上に増えて、控えの選手を確保できるまでになっている。
今のチームメイトたちは、みな、大会の決勝でエイジたちのチームプレーに感銘を受けたという面々だ。
エイジ、ミチル、アユムの3人は、彼らに請われ、これまで連携の特訓を重ねてきた。

今や、『いかにして個人が強力な技を編み出すか』という時代ではない。
『いかにしてそれぞれの持ち味を組み合わせて戦うか』こそが求められる時代になったのだ——

「今日の練習試合は、レーヴの『ジョワユース』とだよねっ。久しぶりだねー、戦うの!」
ミチルが、にこにこと言う。
「レーヴとは、久しぶりって感じはないけどね」ぼやくアユム。「あいつ週1で顔出してくるし」

そんな会話を交わしつつ、練習場のフィールドに出て——
待ち受けていた相手に、一同は唖然となった。

「ふふ、遅かったじゃないか! 待ちくたびれゲバァッ!」
いつも通りに吐血しているレーヴは別にいい。
「やっほー、おにーちゃんたち!」「お久しぶり……です……」
ぴったり寄り添いあいながら手を振ってくるのは、双子のルーとクー。
「面白いもん、見せてくれるんだろうね」
不敵な笑みを向けてくるのは、妖眼のイッグ。
「せっかくレーヴに呼ばれたんだ。新生『ブルーフェザーズ』の力、堪能させてもらうぞ」
覇気もあらわに告げるのは、千の手の結界のタクミ。

現サッカー界最高峰と呼ばれるプレーヤーたちの登場に、『ブルーフェザーズ』の選手たちが驚きを呈する。
「す、すげえ! 『きらめきのふたつ星』に、『見切りの妖眼』……!」
「それに、『千の手の結界』が胸を貸してくれるなんて……!」
「余は!? 『鮮血の貴公子』たる余への驚きは!? ねえ!?」
「キミに驚く理由がないからでしょ……ていうか、そっち、キーパー2人?」
「いや。アタシはフォワードをやらせてもらうよ。実は、そっちの方が好きなんだ」
「というわけで、キーパーは俺だ」

タクミは、エイジに挑戦的な微笑みを向ける。
「全員の魔力で相殺……なんてマネは、今回は通用しないぞ、エイジ」
対してエイジも、ニヤリと笑みで返した。
「おまえの技を破る算段は、もう立ててある。ウチのチームの連携、なめんなよ!」
火花を散らす彼らに、ミチルがにっこりと笑って手を叩いた。
「うんうん! じゃあ、試合、はじめよっか! 負けた方が打ち上げオゴリね!」
「「「なにぃーっ!?」」」
予期せぬ提案に、その場の誰もが驚愕の叫びを上げる。
アユムが、さすがに冷や汗をかきながらミチルの袖を引っ張った。
「いや、あの……あのメンツ相手に、勝つつもりなわけ?」
「だいじょーぶ! なせばなるなる! ならいでかー!」
「……ま、そうだな」
エイジは、アユムの肩を軽く叩いた。
「相手が強きゃ強いほど、練習にはもってこいだ。よーし、おまえら! 絶対勝つぞ!」
「「「おおーっ!」」」
エイジの発破に、『ブルーフェザーズ』の雄叫びが上がる。
その咆哮は、クリアに澄んだ蒼穹へと、高らかに轟いた……